あるふぁ通信令和3年10月号

2021年10月4日

清秋の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
あるふぁは利用者様やケアマネジャー様からのご要望に添ったスタッフを可能な限り派遣させて頂いています。ご相談等ありましたらお電話ください。

(前月の続き…)今回のあるふぁ通信では前回ご紹介させていただいた「テノデーシスアクション」の仕組み、それを知っていることで役に立つ場面について理学療法士の齋藤がご説明させていただきます。

ここで先にテノデーシスアクションについて軽くおさらいしておきましょう。

絵のように手の力を抜き手首を動かすだけで力の入れてないはずの指が曲がったり伸びたりする、簡単に言うとその現象のことをテノデーシスアクション(腱固定効果)というのでしたね。

ではなぜ、こういった現象が起きるのか説明していきたいと思います。

指を動かす筋肉がどのくらいの長さかご存じでしょうか?
筋肉というのは関節をまたいでいることで関節を曲げることができます。というと指は関節が沢山あるので指を曲げる筋肉って短いのかな、と思いませんか?

確かに、手のひらの中で起始(筋肉の始まり部分)と停止(筋肉の終わりの部分)のどちらもある短い筋肉(総称して手内在筋といいます)も多くあります。しかし、長い筋肉は指先の方に停止部があり、手首を通り越し、肘をまたいで上腕骨(肘と肩の間の骨)に起始部をもつ筋肉(総称して手外在筋といいます)があります。

この長い筋肉は手首や肘もまたいでいるため、指を動かすときだけでなく手首や肘を動かすときにも働きます。
そのため、指の力を使おうとしなくても手首や肘を動かすことで曲げたり伸ばしたりする筋肉が相互に関係し合い、一方は引っ張られ、またもう一方は縮んだりすることで指もつられて動いてしまう、という訳なのです。

この知識があると、ご利用者様の中で手が開きにくい、握る力が弱いといった方の見方が少し変わってきます。

手が開きにくく、特に夏場手のひらに汗をかき、なかなかきれいにできない、といった方には手首を手のひら側に倒してあげることで指が伸ばしやすくなり、清拭や洗浄がしやすくなります。
また、握る力が弱い、つかんだものを落としやすい、指先がうまく使えず細かい物をつまめない、といった方は手首を甲側に倒すことのできる角度が少なくなっていることが多いです。
そのため、手首(肘や肩など)が柔らかく動かせるようになると物がつかみやすくなったり指先がうまく使えるようになったりすることが多いです。
買い物袋を手に持ち身体の横にぶら下げて持つとき、ペットボトルのキャップを開けるとき、ドアノブを回すとき、ズボンや靴下の脱ぎ履きをするとき、杖を持つとき…など日常生活で何か持つときには基本的に手首を甲側に倒して握っています。
テノデーシスアクションに限ったことではなく、こういった身体に備わっている機能的な知識と視点を持ち、日々私達リハビリテーションスタッフはその方の何がその動作を難しくさせているのか包括的に考えリハビリに取り組んでいます。

日常のちょっとしたことでも良いので、困りごとのあるときはお気軽に相談していただくことで、その場で解決できる場合もあります。

「こんなこと言ってもどうにもならないよね…」「こんなこと相談して恥ずかしい」なんて思わずに一度ご相談下さい。可能な限り一緒に解決策を考えていきましょう。

秋が深まりゆく季節ですが、くれぐれもご自愛ください。



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