あるふぁ通信令和3年12月号

2021年12月9日

いつもあるふぁ通信をお読み頂いている皆様こんにちは!

今年もいよいよ残りわずかとなってしまいましたが、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

今回のあるふぁ通信では、引き続き理学療法士の齋藤が足底のアーチ(土踏まず)についてのお話しをさせて頂こうと思います。

前回、土踏まずを専門的な言葉でいうと“内側縦アーチ”というとお伝えしましたね。
そしてこの内側縦アーチのアーチの高さが減少した状態を扁平足、逆にアーチが高くなりすぎてしまった状態をハイアーチ、もしくは凹足というとお伝えしました。
そのようにアーチの高さが変化することで一体どんな問題が生じることになるのか、今回はそれをお伝えできたらと思います。

アーチの形状の変化によって生じる問題を説明する前に、足底のアーチの役割について説明していませんでしたね。

実は足底のアーチは内側縦アーチだけではなく、“外側縦アーチ”と“横アーチ”というアーチも存在します。土踏まず側が内側縦アーチなので反対側を外側縦アーチ、土踏まずの前側の縁のことを横アーチといいます。
細かく説明していくと長くなってしまうので図で簡単にご理解いただけたらと思います。

これらのアーチの機能は、主に足にかかる衝撃の吸収と分散をするクッションの役割(トラス機構)、推進力を得るバネの役割(ウィンドラス機構)があります。また、様々な床・地面の変化に対して柔軟に対応することもでき、体重をかけたときの安定化を図るためにも役立っています。
構造的によく例えられるのはアーチ型の石橋です。
石橋の真下に支えとなる柱がなくても石橋は崩れず、橋に掛かる荷重を分散させるようになっています。(図はイメージです)

ただこれは構造的な話で、ヒトの足は柔軟に動かなければいけません。
そこで大事になってくるのは、前回のあるふぁ通信で内側縦アーチを構成する要素の中でさりげなく名前を挙げていた“足底腱膜”(図では足底に白く描かれているもの)です。
これも言葉だけで説明すると難しくなってしまうので図をご参照ください。

図のように三角形のトラス構造をとっていることで上からの荷重に対して衝撃を吸収し、ウィンドラス機構によりバネの役割で踵が上がりやすくなりつま先で蹴り出しやすくなっているということになります。
ここまで説明すると、この三角形のバランスが崩れてくるとこの機能がうまく働きにくくなってくる、ということがおわかり頂けるでしょうか。

そしてこの機能がうまく働かないと、衝撃吸収・分散が不十分になる、推進力が得られにくくなる、床・地面の変化に柔軟に対応しにくくなる、体重をかけたときの安定性が悪くなる・・・など前半にご説明したアーチの機能と真逆のことが起こってしまいそうですね。

衝撃吸収・分散が不十分ということは、その受け止めきれなかった衝撃の影響で足などの痛みを引き起こしたり、推進力が得られにくくなるということは、足が上がりにくくなり歩幅が狭くなったり、床・地面の変化に柔軟に対応しにくくなり、体重をかけたときの安定性が悪くなるということは立っているときや歩いているときのバランスが崩れやすくなってきたり・・・と嫌な予感がしますね。
話は少し変わりますが、ご高齢の方に多い骨折の直接的な原因として転倒が一番に挙げられます。
大腿骨(大腿骨頚部骨折など)や脊椎(腰椎の圧迫骨折など)、手首(橈骨遠位端骨折など)、肩(上腕骨頸部骨折など)の骨折は特にご高齢の方に多い骨折です。
これらの骨折の部位だけに着目して、関節の硬さや機能を改善しようとしても、骨折に至った元々の転倒の原因を考えなければ、再度転倒し骨折してしまう・・・といったこともあり得ます。

そのため、私達リハビリスタッフは、関わらせて頂く利用者様に対して、怪我をした部位や疾患に特徴的な症状だけに着目しないようにしています。
全身の機能を評価し、ご利用者様のご自宅の環境や社会的背景など包括的に考えるようにしています。

つまり、今回お話した足底のアーチに関しての知識はその材料の一つに過ぎず、私達リハビリスタッフが普段からご利用者様に関わらせて頂く際には、こういった小難しいことをたくさん考えているんだなぁということを少しでも知って頂けたら幸いです。

また、リハビリスタッフだけでは包括的にご利用者様の状況を考えさせて頂くのは困難です。
担当医の先生方をはじめ、ご担当のケアマネージャーさん、一緒に訪問している看護師など、他業種からの情報や視点が不可欠となります。
そのため、今後とも積極的に情報共有を図りながらサービスの提供をさせて頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

看護・リハビリに関するお問い合わせご相談は随時行っていますので、お気軽にご連絡ください。

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年末年始休業日 令和3年12月30日(木)~令和4年1月3日(月)




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