あるふぁ通信 2020年9月号：言語聴覚士が教える「呂律（ろれつ）」の話

九月とはいえまだ夏を思わせる暑い毎日です。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は、言語聴覚士の草薙が「呂律（ろれつ）」についてお伝えします。

🗣️ 呂律が回らない原因とリハビリ

「呂律が回らない」とは、舌の動きがなめらかではなく、言葉が不明瞭に聞こえる状態のことです。
言語聴覚士は、小児から成人まで幅広く訓練を担当しています。

小児の場合（機能性構音障害）

口腔器官に問題がないのにうまく発音できないケースです。
（例：「サカナ」が「タカナ」に聞こえてしまうなど）
正しい発音の仕方を練習することで改善を目指します。

成人の場合（運動障害性構音障害）

脳血管疾患などの後遺症として残る場合があります。
特に「食事はむせずに食べられ、舌も動くのに、話し言葉だけがはっきりしない」というケースでは、お口の体操だけでは改善しにくいことがあります。
これは、話しにくい状態で無理に話そうとして、間違った構音の仕方が習慣化していることが多いためです。
専門的な知識（音声学・音響学・言語学）に基づいたリハビリで、自然な話し方に修正していく必要があります。

👂 【付録】相手の言葉を聞き取れない時のコツ

構音障害のある方とお話しする際、聞き取れずに困ってしまうことはありませんか？
お互いにストレスなく会話するための工夫をご紹介します。

① 声が小さくて聞き取れない時

対策：マイクを使います
無理に大きな声を出そうとし続けると疲れてしまいます。簡易的なもので良いので、マイクを使うととても重宝します。

② 声は出ているが呂律が悪くて聞き取れない時

対策：あえて「小さい声で話す」よう促します
「大きな声ではっきり話して」と言いがちですが、これは逆効果になることがあります。
大きな声を出そうとすると余計な力が入り、舌の動きが悪くなってしまうことが多いからです。
「小さな声でゆっくり」と声をかけると、途端に聞き取りやすくなることがあります。

③ どうやっても聞き取れない時

対策：まずは「話題」を確認します
何の話題を話しているのかさえ分かれば、推測がつきやすくなります。
「○○のことですか？」と確認し、話題を特定することから始めましょう。