あるふぁ通信令和2年8月号

2020年8月4日

あるふぁ通信令和2年8月号

待ちに待った梅雨明けも、もうすぐです。皆様にはお健やかにお過ごしのことと存じます。

今回は、摂食嚥下機能のスクリーニングテストについて草薙(言語聴覚士)がお伝えします。

摂食嚥下障害とは、食べ物を認識してから、口に運び、咀嚼をして飲み込むという一連の流れの中になんらかの問題が生じている状態のことですが、評価をする際に、まず、嚥下障害があるのか、ないのかのあたりをつけます。その為に行われるのがスクリーニングテスト(ふるい分け)と呼ばれるものであり、主に3つのテストがよく使われています。

それぞれのテストを簡単にご説明します。

RSST(反復唾液嚥下テスト)
方法:30秒間に空嚥下(ゴックン)を何回できるのかを計る
判定:3回以上が正常

水飲みテスト
方法:30mlの水を飲んでもらい、嚥下の回数やむせの有無を観察する
判定:1回でむせなく飲めれば正常

フードテスト
方法:プリンや粥を食べてもらい、嚥下反射の有無、むせ、呼吸の変化、口腔残留を観察する
判定:むせなく飲めて、追加嚥下で口腔内残留がなければ正常

これらのテストは簡便に行うことができ、大まかに状態の把握ができるので広く普及しています。非常に有用なテストではありますが、誤解しやすい部分もあります。

検査の結果が異常だった=「もう食事が食べられない」「誤嚥性肺炎になる可能性が高い」ではありません。
これらのテストからわかることは、なんらかの嚥下障害がある可能性が高いというあたりであり、これらのテストを根拠に嚥下障害を確定するものではなく、また、嚥下障害の具体的な状態を把握できるものでもありません。
このあたりをもとに、専門的な嚥下の評価が始まります。

専門的な嚥下評価では、実際にどのような嚥下運動が起きているのか、誤嚥性肺炎のリスクはどうなのか、ということを、口、喉の動きだけではなく、認知機能や全身状態などから多角的に分析します。

そして、その時点での安全な食事形態や栄養摂取方法、食事摂取方法、食事姿勢、機能回復の為の具体的な訓練案などを検討します。

お食事を食べることでの誤嚥性肺炎のリスクは、飲み込みの強さだけで決まるわけではなく日々変化します。一度、食べられないと判断された方が、3食食べられるようになるケースは多くありますし、逆に、問題なく食べられていたのに、食べられなくなってしまうこともあります。ですので、その都度、その時の状態でのリスクがどうなのかを評価する必要があります。

在宅での摂食嚥下のリハビリでは、比較的長く経時的に関わることができるため、嚥下評価を点ではなく、線でとらえやすいという強みがあると思います。摂食嚥下障害でお困りの方がいらっしゃいましたら、気軽にご相談下さい。

付録)最近、むせやすくなってきたなぁなんて思うことがある方には、RSST(反復唾液嚥下テスト)がおすすめです。

*30秒間で6回を目標にしてチャレンジしてはいかがでしょうか?
*健常者の平均がおおよそ6回です

あるふぁ通信R2年8月号相模大野_P1

あるふぁ通信R2年8月号相模大野_P2

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